略歴: 1938年(昭和13年)、台湾、高雄県岡山鎮に生まれ 1964年(昭和39年)来日。1969年、早稲田大学第一商学部を卒業 1971年、明治大学大学院、政治経済学研究科西洋経済史学修士 現在、評論活動のほかに、拓殖大学日本文化研究所客員教授
【台湾】 鋭い筆法で評論活動を続ける黄文雄は、そのダイナミックな歴史観と博覧強記の知識によって日本では文明論を展開し、台湾では哲学者としても知られている。執筆活動は日本と台湾を2本の主軸とし、言論活動はアメリカ、ヨーロッパでもなされている。 黄文雄の著述が大きな注目を集めたのは、アメリカで在米華人向けに出ている華字の新聞『台湾公論報』で2年にわたり連載されたもので、台湾で『中国之没落』とのタイトルで地下出版された。当時、きびしい言論統制がなされていた台湾では、独裁強権体制のもと、台湾の反体制運動の必読書となり、幅広い人々に読まれ、多くの台湾人に勇気を与えた。 1989年、戒厳令が解除され、最初の立法員(国会議員)選挙が実施されたのち、1991年、台湾で『台湾・国家的条件』(前衛出版社)が出版されると、立法院(国会)において、野党民進党主席がそれを取り上げ、台湾の国家の条件を行政院長(総理)に質問し、大論争が巻き起こった。台湾における国家の条件論争は北京の中国政府にまで飛び火し、「黄文雄の小国主義批判」にまで発展した。東アジアにおける黄文雄の著作が出版されるたびに台湾、香港、中国に波及し、海賊版が出るさわぎとなっている。 台湾では、1994年、『台湾人的価値観』(前衛出版社)で巫永福評論賞および台湾ペンクラブ賞を受賞し、漢文著書約三十余冊現在も台湾の言論界では大きな発言力を維持し続けている。
【日本】 日本での著作は1975年の『陰謀学入門』(ダイヤモンド社)をはじめ、1989年の『中国にもう花は咲かない』(はまの出版)が、日本人の中国観を刷新する評論として、大きな注目をあび、それ以後7冊の新書が週間ベストテン入りし(東日販の統計)、ノンフィクション作家としての名を知られている。その後『醜い中国人 ビジネス編』(1994年、光文社)、『脅かす中国 騙される日本』(1995年、光文社)、『歪められた朝鮮総督府』(1998年、光文社)、『台湾・韓国・満州 日本の植民地の真実』(2003年、扶桑社)、『捏造された昭和史』(2004年、ワック出版)など多数の著作を次々発表し、覇権主義を続ける中国をきびしく批判する一方で、台湾を近代化に導いた日本を高く評価し、日本の文化・文明に心酔、戦後の自虐史観を払拭する言論活動を続けている。 現在は単行本の著作のほか、各テレビ局・『正論』・『文芸春秋』・『諸君』・『サピオ』・『WiLL』など多数のテレビ・新聞・雑誌で論戦をはっている。